From the author's New-Can
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ありがとう

「ただいま。」
「おかえり。明日からサチはいないし、今晩はお父さんの大好きなカレーにしたよ。もう少し時間がかかるから、先に御風呂にでも入って来て!」
「そうだな。」
自宅から離れた第一志望の大学への入学が決まっていた私は、明日から大学近くのワンルームで生活する。そのため、試験に合格した後は、忙しい父のため、この日も家で過ごすことを決めていた。
友達には笑われるけれども、私は父のことが本当に好きだった。今でこそ、年をとったなという気はするけれど、小さい頃は私のために、どんなに疲れていても、夕食だけでなく、弁当迄も手際良く作ってくれた。母がいないことを感じさせぬ奮闘振りに対して、言葉にはしなかったけれど、心の中では感謝していた。母も、ここまで父が頑張る姿を想像していたのだろうかとよく思ったものだ。
そんな父も、あるときから、休日になると疲れて横になる姿を目にすることが増えてきた。確か、中学生のときであったと思う。父が風邪で何日か寝込んでしまったことがあった。他の家ではしなくて良いようなことを当たり前のようにこなす父に申し訳なく、またいつ迄経っても子供扱いをする父にも嫌気がさし、以来、1週間単位で私は父と交代して面倒な食事当番をすることに決めた。
でも、これを納得させるのは大変だった。両親が揃っている家のように、父は私が高校卒業する迄、食事の面倒だけは本気で見るつもりでいて、長時間の口喧嘩。埒があかず、最後は「サチの言うこと聞いてくれなかったら、家を出るよ!」と言ったら、私の精一杯の開き直りを真に受けて、納得してくれたことを今でもよく覚えている。変に意地っ張りな所はホント微笑ましくもある。
こんなことを私は思い出しながら、夕食のカレーを作り終え、2人分盛り付けた。
「おぉ、美味そうそうだなぁ。」
匂いに誘われるように、父はいつもの所に座った。私はというと、これからは夕食の時間のありふれたやり取りもないのかと思うと寂しくて、父が一口目を食した後、久し振りに出来栄えを確認することにした。
「今日の味、どうかなぁ…」
「サチらしくないな。今迄の中で1番旨いよ。何杯でもおかわりしたいよ。」
「ホント?ありがとう!」
ホッとした。結局、父は「うまい」と何度も言いながら、3杯も食べてくれた。しかし、仕事で疲れていたのか、まともな会話は殆どないまま、スグに床に入ってしまった。
「娘が家を離れる直前の父親って、どこもこんなものなのかなぁ…」と思いながら、片付けをし終わった後、妙案が思い付いた。明日の昼弁当は勘弁してもらって、父に対して手紙を書くことにしようと…。
「お父さん、いつもサチの我侭を可能な限り聞いてくれてありがとう。これからは逢う機会は少なくなるけれど、私が希望した道だし、今迄以上に4年間を必死で頑張るから。お父さんも御仕事、頑張ってね!」
…これだけを綴った後、私も疲れて寝てしまったようで、気付いたら朝だった。机の上には、起こすのは申し訳なく思ったのか、父からの手紙が置いてあった。
「サチ、お父さんのために色々とありがとう。そして、色々と苦労させてゴメンな。これからはお父さんのことは忘れて、自分自身のために頑張るんだぞ!サチの美味しい料理が食べられないのかと思うと寂しいけれど、誰よりも応援しているのはお父さんだということだけは忘れるなよ!」
御守りのように、この手紙を大事にかばんの中にしまった後、私は新しい生活に胸を膨らませ、思い出が詰まった家を発った。
〆
<Postscript>
いやぁ、「課せられたテーマに従い、文章を書く」って難しいですなぁ…。「好きという気持ちだけではなく、チョットした愛情みたいなモノが必要な作業」という感じでしたね。初心者としては、ホント良い勉強となりました。
そして、課せられたテーマであった「ライバル」という言葉の定義も難しいなぁ…と思いましたね。最初、自分の頭に浮かんだイメージは、スポーツのレギュラー争いや恋。一旦は書こうと思いました。でも、書いてみると…背景説明にある程度の量を要すコトに気付き、速攻でボツ。
そんな中、思い付いたアイディアの1つがこの作品の様な「親娘愛」系(※親を女性にすると、ダメダメな自分の自叙伝を格好良くする作業みたいで、コレもできなかった)。最初は、父親2人を設定し、片方は死別という設定で、2人を競わせるという規格外?の作品にするツモリだったのですが、あまりに複雑過ぎて、原稿用紙4枚程度で纏めきれず…。そして、父親を1人に変更し、バッサバッサと削って纏まったのが上記の作品です。
「ライバル」というテーマで、「親娘愛」を描くというのは、争いが曖昧となり、物足りなさを感じさせるかもしれませんが、片親育ちの自分としては、もし自分がこのまま親となり、男手だけで娘を育てるという状況になったならば、中途半端な母親には絶対に負けたくないと思う様になるのは、自然な流れであるとの認識(※女性にとってみれば、こんな娘はもういない!と言われるかもしれない)で、少しだけ触れておけばそれはそれで、話にはなるかなと自分自身、思った次第。また、父親像としての理想を少し描きたいと思った次第…。
でも、設定が食卓+α程度じゃ、コジツケ的感も残った様な。
う~ん…。量は程好くなったけれども…。あと、タイトルもまだ迷っていたり…。
ちなみに、この作品はネタ帳に一切書いていないので、所謂…「書き下ろし」(※若干、修正の可能性有)。感想ありましたら、素直なコメントをどうぞ(※厳しいものが多そうだなぁ)
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