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Written  By  New-Can   [ 2008年10月25日 16:18 ]     

Category  05-A. 自作小説/エッセイ系      BBS


8月の下旬頃、僕は友達と気分転換も兼ねて…
丹沢の山間にある温泉旅館に宿泊してきた。丹沢は箱根よりも東京に近く、宿泊料金は少しだけ安い。そんな理由で選んだ宿であったが、行ってみると、周囲は緑豊かで、近くには小さな川が流れており、環境はとても良い。僕が持っている携帯電話は圏外というサインを発し、秘境の中にいることをさりげなく教えてくれた。

旅館へ着いたのは、夕食どきだった。
僕たちは温泉へ浸かる前に、まずは腹ごしらえをすることにした。

食堂へ行くと、隣の席で小学校低学年くらいの子供が2人いる…
家族連れのグループが先に夕食を楽しんでいた。父親は、鮎の塩焼きを口にすると、子供たちに、

「この鮎の塩焼きはウマイぞ。食べないともったいないぞ」

と言っていた。
父親のその言葉を聞き、旅館の玄関先にあった水槽の中で、楽しそうに泳いでいた鮎の姿が思い浮かんできた。

僕は生まれ変わるとしても、魚にはなりたくない。
その中でも、多くがわずか1年で生涯を終える鮎のような魚にはなりたくないなと思う。

鮎は水質の良い川の下流で生まれるが…
程なくして、川の流れに乗り、生きるために必要なプランクトンがある海へ向かう。

そこがとても安全な場所ならばいいが…
ときには巨大な船が通ったり、鮎を狙う魚がいたり、快適とはとても言い難い。
まさに過酷な修行であり、エンドレスの鬼ごっこのようにしか思えない。

そんな場所でしばらく要領良く立ち回り、身体を成長させた後…
鮎は涼しい場所を求めて、川を遡上する。そして、安住の地を見つけると、鮎はそこで縄張りを作る。

鮎は仲間意識が強く、餌の多い場所に侵入してくるものがいると…
体当たりをしてでも守ろうとする。しかし、人間はその上を行く。その性質を逆手に取り、鮎の縄張りに邪魔者を入れて釣り上げる「友釣り」で迎え撃つ。つまり、生きの良い鮎ほど、その罠には引っ掛かりやすく、水槽という収容所へ強制的に連行されてしまうのである。

そんなことを思いながら、子供たちの前に出されている「鮎の塩焼き」へ僕は目をやった。

初夏を迎えた山間部では、「鮎の塩焼き」は定番料理の1つである。
水槽の中にいた鮎たちは、ある日突然、大雑把に引き上げられ、罪を犯していないにも関わらず、いきなり命を取り上げられたのだろう。喉元から太い棒を突き通され、塩を振られた後、そのまま囲炉裏に刺されて火炙りの刑に処された姿は、プライドを傷つけるようなことを散々やられて、くたびれ果てている。

そんなことを思いながら、また鮎の塩焼きを見ていたら、子供たちが皿に手を伸ばした。父親は、

「鮎は頭から尻尾まで食べられるんだぞ」

と言った。母親はその言葉に相槌を打つと、子供たちは言われた通り、ゆっくりと食べ始めた。

「お父さん、これウマイよ」

「そうだろう。鮎もウマイけどな、他の魚も今度は少し食べてみろよ。
 魚にはカルシウムがイッパイ含まれているし、今日のように食べると、お母さんも喜ぶぞ」

「うん、分かった。頑張ってみる」

苦手な魚にガブツと勢いよく食らいついた子供たちに…
僕は心の中で拍手をせずにはいられなかった。鮎もこれで成仏できるだろう。
もしかしたら、その鮎は神によって天国へと導かれるかもしれない。

そう考えてみると、人間の口に入ることも許されずに捨てられてしまう塩焼きの鮎は…
さらに最悪の事態が待っている。無用な物と一緒にされて、息苦しい空間の中で圧縮の刑に処された後、ゴミ収集場で、これでもかというくらいに二度目の火炙りの刑に処せられてしまうのだ。

そんな鮎にとって、人間はとても恵まれた残酷な生き物でしかないだろう。

しばらく経つと、夕食を待っていた僕たちにも…
隣の席と同じように、よく焼けて美味しそうな「鮎の塩焼き」がやってきた。
僕は鮎に対して、感謝の気持ちでいっぱいになってきた。

頭からガブッと食べてみた。口の中には、1年という短い運命が凝縮した旨味が拡がった。

目の前にいる友達も僕と同じように、頭部から鮎の塩焼きを食べ始めた。
綻んで行くその表情から、僕は川を遡上する生きの良い鮎の姿を思い出した。

<Postscript>

久し振りに習い事で提出している宿題をアップしてみました…(;^^)

この春から、習い事は志賀直哉の作品をテーマに書いてます。
ちなみに、今回は、『城の崎にて』だったのですが、この…お手本の描写がとても素晴らしい出来で、話のテンポが絶妙。しかも“生と死”という重たいテーマを取り扱っていたこともありたこともあり、原稿用紙5枚分の文量とはいえ、生みの苦労はかなりのものでした。

転機となったのは、今日の授業の2週間前という絶妙のタイミングで行った丹沢。
都内からそんなに距離がないにも関わらず、「箱根よりも地味で、落ち着いて何かを考える」という環境がココにはありました。そして、閃きました!

ちなみに、この作品を書き始める前…
「生と死を考えながらも、その中に自分自身の美感を込めたいなぁ…」と思っていたのですが、余計なことを考えると、このようなテーマではドツボにはまりますね。どこから取り掛かるべきか…それを見失ってしまいました。

そんなときにふと目が合ったのが、このアユでして…
ソコに色々なアレンジを加えながら、そのときの感情の起伏を素直に表現してみました。

最近は集中できる時間を作ることが難しくなってきて、、、
この程度の文量でも消化不良気味に終わってしまう作品が続いてましたが…今回はタイトルも含めて、自分が頭の中で描いていた雰囲気…それなりに出せたと思ってます。雑な点、色々あるとは思いますけどね…(;^^)


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