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読み物レビュー <ドーン/平野啓一郎編> 

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Written  By  New-Can   [ 2014年1月 2日 13:16 ]     

Category  04-C. 読書感想文      BBS


今回は、先月の中頃迄に長時間をかけて読破した上記作品を取り上げますが…
640頁にも渡る大作を自分が読破したのは、「果たして、いつ以来だろう…」という感じです。

自分自身、年に何回か、トコトン読書に浸りたいときがあるものの…
この作品に限れば、「そのノリだけで読破するのはさすがに大変かな…」という印象の作品であったことは否定しません。

と申しますのも、「あらすじだけを書く」という作業だけでも、実は厄介な作品で…
縦軸は、宇宙(※火星探索)、戦争問題やテロを抱えた世界の警察であるアメリカ政治の行く末(※大統領選)、アメリカに見る先進国の近未来(※2030年頃)、さらに正義を問われるサスペンス要素…と、てんこ盛り。これに対して、横軸は、「分人主義」というテーマで貫かれているものの、どのような順番で書けば良いのか、些か迷ったほどですから。

【1. 縦軸:近未来】

自分が思うに、政治も含めて、近未来という意味では…
至極現実味のあるものばかりでした。個人的には、時代を的確に読んでいるという印象で、その発想は面白くもあった一方で、怖くもありました。以下に、その例を記しておきます。

  • 戦地となった東アフリカの生物をヒントにテロ兵器として利用
    今作の中で、“ニンジャ”として扱われている生物兵器ですが、先進国の技術進化は、発展途上国の技術進化にも繋がるので、悲しい話ではありますが、あり得る…でしょうね。
  • 監視社会vs顔の整形技術
    防犯カメラで撮影された映像を誰でもウェブ上で検索(※散影)できる…これは、技術的には可能でしょうが、絶対に踏み込んで欲しくないですね。今作において、必要に応じて顔の形を変えることができる“可塑整形”は、マイケル・ジャクソンの変わり果てようを見てきた世代の1人としてはあまりにも生々しく、自身を大切にして生きて欲しいという思いがどうしても上回ります。
  • 遺伝子情報から人物を再現
    今作の中では、震災で亡くなった主人公夫妻の子供である太陽を再現してますが、成長型三次元映像プログラム「添加現実(AR)」に関して、虚しさを感じる一方で、理不尽な出来事で亡くなるといったケースも加味すると、人の心を的確に突いた、素晴らしい技術であるように感じました。
  • ネットユーザーが妄想を膨らませ、小説を共作する「ウィキノベル」という概念
    要は、Wikipediaのような仕組みのサイトにおいて、ネッターが思い思いの文章を積み上げ、その結果を小説として愉しむ…という感じなのですが、こんなサイトがあったら自分も読者となるでしょうね。
  • オマケ:ブルース・スプリングスティーンがお爺さんになっても大統領選に登場。
    彼のことが好きだった自分にしてみれば、寂しくもあった話ですが、「Born In the USA」というインパクトある曲を唄っていた熱心な民主党支持者。個人的には、分かりやすかったと思いますが、自分より下の世代に対して、彼の名前はもう通じないかなとも…。

【2. 縦軸:宇宙&主人公の整理など】

主人公は、明日人というNASAの日本人宇宙飛行士で医師。
2年半に渡る火星探査のため、地球を離れるのですが、人類で初めて火星着陸に成功し、無事帰還を果たします。内容を知らない方にしてみると、「あっ、成功話ね?」という感じでしょうが、実は栄光というよりも恥辱…。妻の今日子がおりながら、クルーとの不貞行為があり…大事なミッション内で、なんと中絶手術を行わなければならない始末。さらに不幸だったのは、そのデータが外部に漏れ、ネッターに面白おかしく、“ウィキノベル”に描かれてしまう始末…。

ところが、今日子も今日子でその長期間、1人で待っていることができず…
別の男と浮気し、さらにその彼が作ったバーチャルの息子に癒されているような始末…。「宇宙飛行士なんて、自分とは全く縁がない世界。そこに間接的に関わる家庭も同様…」という理由で、自分自身、神聖化さえしておりましたが、まさか宇宙船内の出来事に性問題、さらにその人物を支えてきた妻に対しても浮気を絡めるとは…ね。夢とかって小さなもので、時間や距離といった概念は人間をストレスの極限に追い込むと共に、それに負けた人間の本能は判断をも狂わすという感じで、“欲望の抑制の限界”を見たようでした。

【3. 前述の1~2をもとに縦と横軸の分人主義を整理…】

今作の大統領選における争点の1つとなったアメリカが行う東アフリカ戦争に関して…
「介入」として肯定するか、「侵略」として否定するかという点などにも共通しますが、結局、「人間は、地球という星の中で、壮大な人体実験の下で生きている」ように感じます。冷めた意見であるのかもしれませんが、「子供の夢というか、人間の純真さをこれほど迄に壊す作品はない」でしょうね…(;^^)

どんな人間も、自らが置かれている場面や対面している相手に応じて…
“個人主義(individual)”と“分人主義(dividual)”を巧みに使い分けながら生きていることに関して、自分はなんら異論はありません。「一貫性を保つことはできない=分人主義で生きていることの証左でしかない」と断じても良いはずであり、有名人をはじめ、人生を謳歌しているように見受けられる人間も、この両者を上手く、且つ自然に使い分けることに長けているように見えるだけであり、自分たちと全く変わらないように感じますから…。

現代において、インターネット上か否かなど…
“状況×対人間”は細分化され、多様化しておりますが、技術革新が続く限り、今後もその数は減ることはなく、増える一方といえましょう。そんな中であっても、「人間は個人主義と分人主義…どちらかに偏ったり、歪んだりするような存在であってはならない」と自分は思っておりますが、これ自体、“普遍的価値観”であるのではないかと考えます。その警鐘として、今作があるのではないかとも自分は解釈したので、実は読んでいて、どこか励まされるところもありました。

尚、エンディングの話をここでチョロっとしてしまうと、例の2人…
所謂、明日人と今日子は、最後は「愛してる」という感じで、なんとヨリを戻すことになります。お互いに葛藤もあるなど、「綺麗に纏め過ぎで、どうも腑に落ちないんだけど…」と仰る方もいるかもしれませんが、自分は色々な面で犠牲となった念を共感し合っているようにも感じ取れたので、異論はありません。

【4. その他諸々】

著者に言わせると、“エンタメSF”が今作のテーマだったようですが…
普通の作家であれば、挫折してしまうようなテーマでしょう。然しながら、これだけの文量となっても、膨大な知識と豊富なボキャブラリーを巧みに操り、作品として纏めてしまう平野啓一郎は、改めて凄いなと感じた次第です。個人的には、三島由紀夫と共に、「自分がどんなに頑張っても、到達困難な領域にいると思う作家の1人」ですね…。

とはいえ、今作を読み続けることに関して…実は、何度か挫折しました。
描写というか、伏線の数や文量があまりに多く、「ここまで長くする必要はある?」と。「チョット入れ込み過ぎでは?」とも思ったものの、その壁のようなものを乗り越えた後半、自分は意外とスラスラ読み進めることができました。

読者に対して、近未来を考える時間を与える狙いもあったのではないか?」と…
次第に感じられたりもして、私見ですが、“大作であるべき大作である”ように感じました。仕事場でも、昼休みを使って読んだほどだったのですが、「にゅう(※仮苗字)さん、読書するんですね!」と若手に冷やかしを受けたりしました。思えば、久しくやっておりませんでしたからね。こんなこと…。

最後になりましたが、印の数という意味では、イイ意味でも、ワルイ意味でも…
作者の思いがこもった“熱過ぎる作品”であったことが気になったものの、近未来感がとても現実的であり、著者の知識も余すことなく反映されております。「★3つ以下の平凡な作品とは一線を画しているのでは?」という印象しかなかったので、“★4つ”とさせて頂いた次第です。

<Postscript>

最後迄読み終えてしまうと、明日人、今日子、太陽って…
あまりにストレートな名前といいますか、もう少し捻っても良かったのではないかと思ったりもしました…細かい話ですけどね。ちなみに、今作に関するレビューはあちこちにありますが、自分は“鳥籠ノ砂”というブログの中の人が書いた記事に対して、共感を覚えました。


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