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「美男」との誓い
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「美男」との誓い 

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Written  By  New-Can   [ 2014年2月23日 05:51 ]     

Category  05-A. 自作小説/エッセイ系      BBS


藤沢の駅で、美咲は進行方向右側の座席に腰を下ろした。
江ノ電がカタンコトンと走り出すと、心地良い揺れで眠りに誘われた。


気がつくと、次の駅である腰越へ向かっていた。窓のすぐそばを車がかすめる。
何年経っても変わらぬ、時が止まったかのような区間を過ぎると、やがて窓の向こうに相模湾が広がる。


稲村ケ崎の駅の手前あたりまで暫く続く、車窓の風景。
今日のように、晴れた日の美しさは格別だ。少し遠回りしてでも、江ノ電を利用して良かった、と美咲は感じ入った。


そんな区間を過ぎ、5分ほどすると、電車は長谷の駅へ到着する。
下車し、駅から山側に向かって、少し歩くと、大仏様が鎮座する高徳院がある。

「やぁ、久々じゃないか」

鎌倉で生まれ育った美咲は、高校を卒業するまで、高徳院へは数えきれないほど足を運んだ。
そんな人間の特権かもしれない。大きな体に似合わぬ、小さな心の声しか出せないカレとでも会話のキャッチボールができる。

「ご無沙汰しました。大仏様…」
「で、今日はどうしたんだい?」
「もうご存知かもしれませんが、仕事場の先輩の件で相談しに来ました」
「おぉ、ずっと気になっていたぞ」

さすが、美咲の心の拠り所、大仏様である。

「面倒臭い仕事が舞い込むと、いつも私に振り、自分だけサッサと早帰りしてしまうのです。
 私も色々な作業を抱えているから、これには困っていて…」
「そうか、そうか。では、ボクと一緒にその人に向かって、祈りを捧げてみようか」
「…嫌です。ここ何ヶ月にもわたり、散々意地悪をされてきたので」

思わず、美咲は本音をぶちまけてしまった。

「君がそう言いたくなる気持ちは、よく分かる。
 でも、それを繰り返していたら、争いごとは永遠に終わらない。
 鎌倉に住んでいるときから、ボクのことを大切に思ってくれている君なら、分かるだろう?」

大仏様は、さらに話を続けた。

「ボクは昔からずっとここにいるのに、何百年も雨風をしのげる家さえ与えられていない。
 奈良の東大寺さんをはじめ、周りの大仏友達は、みんな家があるのに…。
 だから、たまに疲れているときがあっても、ノンビリと休めない。お休みなんて、数十年に1度。
 暑い日も、寒い日も、ボクは君をはじめ、ここへ訪れるみんなのためにと頑張っているんだ」


与謝野晶子の短歌に…

「鎌倉や 御仏なれど釈迦牟尼は 美男におはす 夏木立かな」

という作品がある。
“美男”と詠われた大仏様にも、心の中では色々な思いを抱えていることを美咲はよく知っている。


「酷な言い方かもしれないけど、世の中には、理不尽なことはイッパイある。
 それでも、ボクは大きな心で全て受け止めている」
「…そうですね」
「いいか、君は1人で生きているんじゃないんだ。
 苦しいとき、そばに寄り添えないボクだけど、ここから君のことを常に見守っている。
 もし、ボクの純粋な思いが分かるなら、一緒に祈りを捧げてほしい」
「…分かりました」

大仏様と一緒に祈っていると、不思議と冷静な気分になれる。
仕事場のことなんか、小さなことだ。いつも、こんな心境であれたらいいなと美咲はつくづく思う。

「時間があるなら、ボクの胎内にも入ってみるかい?」
「…はい、そうします」

暗闇の中、僅かに光が差し込む空間の下、美咲は改めて祈りを捧げた。
大切なカレに、感謝の気持ちを伝えると共に、イイことが起きますように、と。

<Postscript>

今回の習い事のテーマは、“大切な場所”でした。
自分自身、そんな場所は幾つかあるのですが、エッセイ調にしてしまうと、同じような場所ばかりを取り上げてしまう癖があるので、今迄取り上げた記憶がなかった鎌倉の大仏様にスポットを当ててみました。健気な姿を少しだけユーモラスに…以前から、そんな思いは少しあったものの、いざ公開してみると、やっぱり少し恥ずかしくもあったりします…(;^^)

ちなみに、ここのところ、色々あって、精神的な調子が良くなかったのか…
原稿用紙4枚とか、6枚の作品といえど、纏めることができず…という状況が続いておりましたが、久々にパッと書くことができて、少し嬉しかったです。


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