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カロートペンダント
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カロートペンダント 

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Written  By  New-Can   [ 2014年6月21日 19:32 ]     

Category  05-A. 自作小説/エッセイ系      BBS


沙織が父親の正信と死別したのは、小学校4年生のときだった。
その年の夏休み、正信は休暇をとって、単身赴任先の大阪から久し振りに帰京することが決まっていた。前週には、

「沙織、お父さんと一緒に行きたいところはあるか?」

「ディズニーランドに行きたいな。夜は一緒に花火を見たいな」

「花火か、いいな。約束するよ」

といった会話も電話でしている。
仕事の都合で、正信は家から離れていることが多かったものの、沙織にとっては、優しい父親という印象しかなかった。


その電話から1週間後、正信が帰京する日を迎えた。
沙織は、ウキウキしながら、母親の裕美の横で、夕食の手伝いをしていた。
裕美もまた、心が弾んでいるようだった。

正信は、夕方過ぎに買い物帰りの客で賑わう大きな駅へ到着し、

「あと、20分くらいで家に着くかな。3人での夕食は久々だな。今から楽しみだ」

と電話を裕美にかけてきた。

…それから数分後の出来事だった。
たまたま現場に居合わせた人の話では、「電車が通過します」というアナウンスがあった丁度そのとき、正信の目の前で幼稚園児くらいの男の子が誤ってホームから転落したのだという。

子供が大好きだった正信は、持っていた荷物をその場に置いて、その子を助けるために、慌ててホームから飛び降りた。

ところが、当時のその駅は、現在のようにホームの下に人が退避できるようなスペースが十分とられておらず、最前方と最後方にしか退避スペースは設けられていなかった。

このため、正信はその子を抱えたまま、必死になって最前方へ走った。
しかし、背後からは通過列車が迫ってきた。

足場が悪かったこともあったのだろう。
正信は途中で躓いてしまい、「逃げろ」と言われた男の子だけが反射的に退避スペースに入り、正信は轢かれてしまったのだった。

警察から家に電話があったときの裕美の様子を、沙織は今でもハッキリと覚えている。
いつものように、愛想よく受話器を取った後、膝から突然崩れ落ち、目には大粒の涙が溢れていた。

何があったか分からず、沙織が尋ねてみると、

「お父さんが、お父さんが、事故で死んじゃった…」

それだけを裕美は口にした。


不慮の事故で正信が亡くなり…
沙織が楽しみにしていた夏休みは、お葬式へと変わってしまった。

残された母娘のことを心配する親戚たちが代わる代わる家へ訪れる。
そんなバタバタした時間が過ぎた、ある日のこと、

「お母さんと約束してほしいことが1つあるの」

と裕美は言った。

「…約束してほしいことって、なに?」

と沙織は聞き返した。

「お母さんのこと、大好きだよね?」

「もちろん、大好きだよ」

「どうもありがとう。それでお母さんとの約束だけど…
 お父さんと、お父さんが必死になって助けた男の子のこと、どう思ってる?」

「どう思ってるって…沙織はお父さんと会うことや話をすることができなくなったんだよ。
 お父さんが死んだことはウソであってほしいし、寂しいよ」

沙織が素直な思いを母親に対してぶつけると、裕美は大事な娘のことをソッと抱きしめながら、

「そうだよね。でもね、お父さんが必死になって助けた男の子のことは、絶対に恨まないでほしいの」

と涙を浮かべながら語りかけた。

「…なんで?」

「男の子もホームから落ちたくて落ちた訳ではないでしょう。
 もし、男の子が私たちのところに御礼を言いに来たとき、沙織は男の子のことを責められる?」

沙織が何も答えられず、困っていると…
裕美はポケットに忍ばせていたハート型のかわいらしいペンダントを、沙織の首にかけた。

「これはね、カロートペンダントというの。
 ハートの中には、沙織が大好きなお父さんが入っているのよ」

「…お父さんが?」

「そうよ。この先、お父さんがいなくて寂しいと思うことは、何度もあるでしょう。
 そんなときは、これを身につけて、お父さんが沙織のそばに寄り添ってくれていると思いなさい」

ペンダントの中には、正信の遺骨の一部が細かく砕かれたものが入っていた。


大人になった今でも、沙織は裕美に渡されたペンダントを大切にしている。
悲しいときや苦しいとき、誰かにそばにいて欲しいときとか、状況に応じて沙織は身につけている。

大好きだった父親がそばにいなくても、いつも笑顔を振りまけるように。
危険であることを顧みず、目の前にいた子供を助けるために、身体を張った父親のことを誇りに感じながら生きていけるように。

<Postscript>

今回の習い事のテーマは、“恨み”でした。
恨みや憎しみ、妬みなどの“負の感情”をイッパイ抱えていても、残念ながら、その相手は倍以上にして返してくるものです。結局、恨みを心の中で抱いてしまったら、長い時間を費やしてでも、“恨まない”という結論へ自らを至るようにするしかなく、本作においても、そこを軸にチョットしたショートストーリーを描いてみることにしました。

とはいえ、このようなテーマは、僕のような素人の書き手にとって…
簡単なものではなく、沙織の大事な父親である正信を、結果として、不慮の事故で死なせてしまうことになってしまいました。このため、「沙織のために、せめて形として何か残してやれないか…」という思いが募り、日本人にとっては宗教上の理由で、抵抗がある概念であるとは承知しつつも、“カロートペンダント”をプレゼントしてあげることにしました(※詳細は、本文中のリンクを参照して下さい)。

ちなみに、作り話とはいえ、自らのストーリーにおいて、誰かが死んでしまうという設定は…
実は初めての経験だったのですが、予想以上に辛く、悲しいものでした。これを書きながら、「オレって酷い人間だなぁ…」という感じで、何度も涙を流してしまったり…。こんな作品を仕上げておきながら申すのも難ですが、自分自身、メンタル的にかなり落ち込んでしまいました。。。


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