第15回のテ〜マ:2つの都市(2000.12.31.)

 タイトルで、内容が想像付くでしょうか? このタイトル、実は…1つの都市は“20世紀”、もう1つの都市は“21世紀”という意味なのです。“橋”という言葉を使うのも安易かなと思ったので…。

 さて、早速…20世紀の印象について考えてみましょう。貴方にとって、20世紀ってどんな100年だと思いました? 自分は、【人の心の浮き沈みが顕著に目立った100年だった】と思います。大きな戦争が15年周期ぐらいでありましたし、この世界に生きる人間的にも…純粋な心の持ち主もいれば、それが屈折した持ち主もいました。日本国内だけで考えてみても…第二次世界大戦終了時までの人間、高度経済成長期頃の人間、ココ20年ぐらいの人間ってのは、明らかに異なっているような気がします。

 例えば、第二次世界大戦終了時までの人間というのは、基本的に…生まれたときから、物事の考え方を単一的に植え付けられ、自分自身の欲求というのも…全て、天皇を中心とした軍国家基準として、発生した…今思えば、悲しいモノでありました。また、高度経済成長期頃の人間については、長期に渡った戦争後、荒野と化し…0まで戻ってしまった日本を、【夢のような国】にすべく、満身創痍になって、その発展に努めてこられたコトを考慮すれば、やはり…前者的な人間の考え方が、まだ多少なりとも残っていたのではナイかと思われます。

 しかし、昨今の日本を支える世紀末の人間といったら…果たして、誰のため、何のために生きているのか…それが、やや曖昧なまま生きている人間が非常に多いと思われても、仕方ないと思います。そこらで起こる犯罪にしても、低年齢化しつつあり、あまりに自己中心的なモノが多過ぎます。

 なぜに、こうなってしまったのでしょう…? もっとも、ココ数十年の…例えば、3歳の子ってのは…とりあえず、それから10数年間は、【同じ電車に乗り続けるシステム】と言っても良いようなモノに組み込まれるのが、日本であります。つまり、この3歳の子供を、【電車の車内の乗客】として捉えれば、座って寝てても良いし、立ってても良い訳で、それは誰にでもできるコトなのですが、電車にも不測の事態ってコトは考えられます。そういうとき、彼らはどうなるでしょう? ただ、慌てふためく人も出るコトでしょうが、【これぐらいキチント想定して、自分なりにアクションを起こして、対処しろ!】と言わんばかりの日本の子供を育成するシステムは、無茶苦茶ではナイでしょうか? これに挫折し、昨今のような…信じられない考え方をする子が、あれだけ出るのも…然るべきだと思われます。また…何よりも、【受験】というのだけを前面に押し出し、日本人の幼き子供1人1人に対して、【なぜに、お前がこの世界で生きているのか?】というコトを考える機会を奪っていると思われます。ハッキリ言って、【難しいコトを煙に巻いてる】…そんな気がするのは、自分だけでしょうか?

 いきなりですが、ココで20世紀の過去を遡ってみましょう。極端な話、出来が悪いとみなされた人間…もしくは、出来が非常に良いとみなされた人間を皆殺し、または虐待してきた歴史が浮かび上がります。例えば、ヒトラー、ポル・ポトをはじめ、最近でも…サダム・フセイン、ミロシェビッチといった人物は、そのような考え方でありました。こういうコトがあったからこそ、20世紀内に全世界が…【本当の意味での自由な国家を作ろう】という考えに、至った遠因であるような気が…自分はします。

 ただ、今挙げた4人の人物の考え方は、残念ながら、あまりに残酷極まりない…非常に極端なシステムではありました。しかし、これは彼らに力がある間は、国を統治しやすいシステムであったのは、間違いナイと思われます。このシステム、基本的に【国家としての誇りを堅持しよう】とする訳で、例えば、実際に単一民族気味にし、さらに1つ犯罪を起こした人間を罰すれば、自分にとっては有能な人物しか残らない可能性は高く、ある意味、平和になるかもしれません。また、目的は同じでも…博識者を次々と抹殺し、自分に刃向かえるだけの知識を備えてない、言ってしまえば教育を受けていない民衆だけを残せば、反乱という考え方さえ浮かぶコトはなく、上手く行けば、これは長期的に平和に過ごせる可能性も高いでしょう。

 日本も、かつて…帝国時代はこのような仕組みであり、例えば…作家の小林多喜二は、獄中で命を落す羽目になりました。このような時代に生きた人間は、人生において、常に自分自身の将来の道の選択には、命を賭けなければなりませんでした。おそらく、小林氏もこのとき、死ぐらいは覚悟していたコトでしょう。しかし、今の平和主義色濃い時代においては、そのような状態を考えるコトすらありません。

 昨今は、20歳以下の少年の犯罪が多いですが、結局そんなぬるま湯雰囲気の時代だからこそ、結局…彼ら自身の考え方に、責任感があまりに希薄になり、犯罪が連鎖的に止まらなくなっていると思われます。ココまで来たら取り締まるには、やはりある種の…締め付けは必要であると、個人的には思います。政治家もそう思ったのでしょうか? 法律の改正をしましたが、少年法等をいじくって、年齢等の変更をしただけといっても過言でナイ、結局…考え方が短絡的であるモノだからです。個人的には、悪いコトをしたら、少年少女だけでなく、その親にも…子供の倍の痛みを伴う状況を作るべきだと、自分は思うのですが、そういうコトはこの法律では、そういうコトはできません。

 現在…先進国の大部分において、子供の絶対数が、格段に少なくなっていますが、この状態が続けば、1人の人間の力も無駄にしてはいけない状況になる日が、全世界に確実に訪れると思われます。もしかしたら、そういう状況が21世紀中に起こり得る可能性だってあります。それならば、子供だけでなく、無責任な親を作るコト自体も間違いであるという、そんな法整備をするところまで考えるべきだったと、自分は思います。人間は、極限に追い込まれなければ、本当の考えは見せない生き物みたいですねぇ…。

 今…20世紀という都市の対岸の都市である21世紀という都市には、良き科学技術等と共に、こんな複雑な問題等も持って来られようとしています。まもなく、橋が架かる21世紀という都市は…この100年、20世紀という都市を川の向こうから達観していたでありましょうか? それとも、ノストラダムスの予言を鵜呑みにし、橋は架からないモノだと思っていたのでありましょうか? それによって、時代はまた大きく変わる気が、自分はします。

 というコトで、20世紀から21世紀へのお手紙を…書いてみましたが、いかがでしたでしょうか? 【数十年後に、もう1度読んでみたら、一部当たっていた】…みたいな、かなり難解な内容にしたツモリなのですが…(苦笑)。以上で、15個目の…【20世紀最後の積荷】を載せた船が、またこの港を発ちました。。。

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