第24回のテ〜マ:倭のゴッホ(2001.8.18.)

 夏休みのコトを書く予定でありましたが…やはり、色々な思い出があるせいか、書くコトが相当ありそうなので、その繋ぎモノを…1つ、書くコトに致します。

 夏休み後…実は、また忙しい日々を過ごしております。22時30分過ぎると、自然と疲れによる睡魔で…(バタン)。1時過ぎまで、ときには朝まで寝てしまうという…テレホ時間に起きてるコトが厳しいぐらいの凄まじき睡魔であったりするのだ。俺、働き過ぎかなぁ…。飲み過ぎかなぁ…。いやぁ、実際そうだ。両方とも当たっている(苦笑)。これらを両立するコトが、自分自身…チョット辛くなってるこの頃であるのかもしれません。夜の電話なんか、体力的都合で全くできないし…(大汗)

 そんな忙しい日々を送っていたせいでしょうか…。祖母が入院している病院へ行った帰りの電車の中で、とある広告を目にするコトになる。【〜生誕80周年記念〜山下清展 大丸ミュージアム・東京】。大丸といえば、自分の仕事場がある“東京駅・丸の内側とは逆”の…“東京駅・八重洲側”にあったりするのですが、一応…自分の仕事場の近所。さらに、芦屋雁之助氏主演のテレビドラマ【裸の大将放浪記】(1980年〜18年も続いたそうだ)等で、より一層馴染み深くなったとも言えなくもない…【放浪の天才画家】とか、【日本のゴッホ】とも言われた、彼の職人芸の手さばきで制作された貼絵を初めて、この目で拝見できるとあれば…行かない訳にはいかなかった。もう、絶対に見てやろうという思いでイッパイ。それが、ようやく…昨日、叶うコトになったのだった。

 早速…その感想を最初に述べましょうか。彼の貼絵は、【鳥肌モノ】。何が素晴らしいって、世界を見渡しても珍しいと思われるジャンルであるが故、全体が素晴らしいと述べるのもありなのかもしれないが…俺的には、その骨格を成す、【絵画の基本であるともいえる…“点や線の表現”、“主体を浮き上がらせる背景の表現”が、誰の絵よりも素晴らしい】…そんな気がした。俺の個人的な考えを述べさせてもらうと、紙を丹念に手でチギって、ノリ等にて貼り付ける貼絵という表現手法は…油絵等ではまず起こり得ない、【チギった紙と紙の僅かな隙間】というモノを生むが、それが全くスキを感じさせていなかった。なんて言えば良いのだろう…。【紙が持つ色だけでなく、紙の切れ目までもがヌクモリを与えていた】と言うのが適切であろうか。まさに、【職人芸】という言葉以外では語れない作品群であった。

 というのも、普通…色を塗るときに僅かな隙間を残すという発想は、他の部分がどんなにキチント描かれていても、どこか物足りない感じを観ている側に与える。未完成作品と語られても、正直な話…やむを得ない。音楽でもそうなのだが、隙間(休符)を作るタイミングでは…1番気を配る。休符が全体にテンポを与えはするのだが、ある意味ではリスクも非常に大きい。そういったトコを逆転的発想で突いたとも言える山下清氏の貼絵には、【倭の美学が滲み出ている】と俺は心からそう思う。

 ちなみに、【山下清氏といえば…貼絵】というのは、一般的でありますが…実は、ペン画、水彩画の作品も相当数展示されておりました。【実際のトコ、貼絵以外の質はどうなの?】とお思いになる方もいらっしゃるかもしれませんが、俺的には質は全く落ちていないと思われました。なぜなら、ジャンルを変えても、仕上げ方に一貫性があったからです。つまり…貼絵を制作する際のきめ細かさが、その他のジャンルにおいても損なわれておらず、点や線についても実に上手く表現されておりました。倭に生まれ、本当に良かったなと思うのは…こういう瞬間(とき)であると言っても過言でなかったです。キメ細やかさを美と捉える倭って、やっぱり素晴らしいなぁ…(笑)。現に、山下清氏もそう思ってかどうかは分かりませんが、貼絵で使った大小の紙については…一切、ハサミを使っていないそうです。こういう古風な考え方が残る、この国が俺はたまらなくスキだ〜。良いモノを作るとき、この国の人以上に時間をかける人はいないと思うのは俺だけだとは思いません。古くから残っている、建築物、美術品…その他色々ありますが、実に面倒な手法でもって作られたモノばかりであります。それが故に、現在においても残されているモノは、人々に愛されているのかもしれないと、俺は思います。という訳で?、その流れを汲むと言っても過言でナイ…彼の貼絵についても、保存の方は本当に大変でしょうが、【是非とも後世の代まで、永遠に残って欲しい】です。ハイ。

 最後に、山下清氏の展覧会の今後の予定でも。9月8日〜は…東静岡駅前のグランシップにて、そして随分と先の話にはなりますが、2002年の1月24日〜は…横浜のそごう美術館にて行われるようです。なお、普段は…山梨県の甲府駅から、山の上の方までバスに揺られたトコにある?、【昇仙峡影絵美術館】にて、彼の作品をご覧になれるようですので、共に観に行けなそうな方は是非そちらに足をお運び下さい。貼絵はやっぱり、生で観るのが1番です! 以上にて、第24個目の積荷の箱詰めを終わりにしたいと思います…。

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