第27回のテ〜マ:【暴力>>芸術】(2001.9.29.)

 100年後には、間違い無く…歴史の教科書に載るような、そんなとんでもない事件がアメリカのワシントン&ニューヨークで起こった。誰もが予期するコトができなかったであろう、【人類の歴史上において、最大の汚点の1つ】ともなり得る、【同時多発テロ事件】となってしまった。2機のハイジャックされた旅客機が続けざまに【貿易センタービル】に衝突した瞬間や、逃げ遅れ、高所から飛び降りて死を遂げてしまった人々等の映像、または写真を観て、アメリカ国民をはじめ、世界中の人々があまりの残忍な手口に凍り付き、悲しみの鎖に縛られた。この鎖に強く縛られた人間は、果たしていつ解き放たれるのであろうか? というか、再びそういう日はやってくるのであろうか?

 まぁ…この件に関しては、深いコトを書くのは、俺自身が知識的に足りないコトがあるので、そういうコトは識者に任せるコトにするが、ただ、心配なコトがある。【芸術が常に暴力という危険に曝されているコト】である。俺は、貿易センタービルを核とするマンハッタンも含めてであるが、【街並みというのは芸術作品の1つである】と思っている。というか、街並みについては…各国の各地の文化が如実に表現された、実に素晴らしい作品でなければならないと思っている。しかし、そんな街並みが…今回のテロで、全く罪のない一般市民も巻き込んだ形にて、あのような形であっさりと破壊されてしまった。ただ瓦礫が溢れた。誰もが事件を知っている土地に、貿易センタービル、ペンタゴン等は同じ地に今後再建されるのであろうか? 犠牲者の数を考えると、非常に困難な作業だと俺は思っている。あらゆる要素が破壊された瞬間だと思ってしまった。。。

 さて、そこまでのモノになってしまった今回のテロについての主導者の名前として…アフガニスタンのタリバン政権が匿っていると言われる、オサマ・ビン・ラディン、レバノンのイラン系イスラム原理主義組織ヒズボラのイマド・ムグニエ、「オサマ・ビン・ラディンの後継者」とも言われるアイマン・ザワヒリ等の名前、そして関与した国としてイラクの名前が挙がっている。以前から思うコトなのであるが、イスラム原理主義系が起こす事件については、日本のとある集団みたいに破壊するコトを非と思わないのが、とにかく怖い。イスラエルで頻発している【小さなテロ】のように、【宗教のため】というような理由にて、【自爆】という形で、命を投げ打つコトもできる。一般市民を巻き込めば、【良くやった】と言われる始末。さらには、何かを同じ民族が起こしたとなると…【アイツはやってない。絶対的な根拠ある? 攻撃されるなら、同胞のために戦う】と仲間意識がやたらに強くなる。どう考えたってあるにも関わらず、こう出てくる。話し合いもクソもナイ。【宗教はどういうものなの?】と、俺は1度で良いから彼らに問ってみたい。

 おっと…話をモトに戻そう。そういえば、オマルをはじめとするタリバン政権&オサマ・ビン・ラディンは、テロ以外にも数え切れないほどの問題を起こしたと言われている。あぁいうタイプの国は、どこまで隠蔽された情報があるか分からないのだが、俺自身ぐらいのレベルにおいても分かっている範囲で書くと、イスラムらしく?…異常なまでの【女性差別政策】を行っているコトは当然のコト(さすが、イスラム原理主義:^^;)、反抗したら見せしめの死刑というのも…ハムラビ法典的で恐ろしい。ただ、その中でも…個人的にもかなりショックだったコトは、この3月に、【三蔵法師も仰ぎ見た】と言われている、アフガニスタン国内の世界遺産であるバーミヤン遺跡(写真)を破壊したコトである。

 旅行を趣味としている俺であるが、旅行中の楽しみの1つは…【その土地独特の伝統文化を鑑賞するコト】だと思っている。というか、そうでない旅行好きは、本当の意味での旅行好きではないとも思っている。そんな自分にとっては、あの大仏がミサイルにより破壊された場面を観た瞬間は、本当にショック極まりなかった。あの映像を見せて欲しくなかった。【偶像崇拝がイスラム教では仏教のように行っていない】という理由で破壊したようだが、その右翼的な考え方に、【同じ人間がする考えなのか?】と思うと絶望感さえ覚えた。アフガニスタンにおける、シルクロード時代から長年に渡り生き残り、人々に染み付いた文化も、もう次世代には残らないのかもしれない。【暴力>>芸術】という構図は前々から否めないとは思ってはいたが、今回のテロの件ではそれ以上の不安が俺の中の頭をよぎった。アフガニスタンの大仏よりも、さらに古い規模で、なおかつとてつもなく大きい芸術である…地球についても、そういう考え方の人物により、破壊されるのかもしれないなと思ってしまった。そう考えると…やはり、今回のテロに対しては、異文化のコミュニケーションはムリなのかもしれない。片方が明らかに右翼過ぎて。悲しいコトではあるが、暴力で立ち打たねばならないのが現実なのかもしれない。

 基本的に、そんな考えでいた俺なのであるが、あるとき…偶然にもネットサーフィン中にこんな記事を見付けた。坂本龍一氏(通称:教授)によるものである。これを読んで思ったコトは、日本の在り方、そして現在の芸術の力である。日本の在り方については、政治家等の上の人が決めるコトなので、書くコトは控えるが、【歌は諦めとともにやってきた】という表現については、とにかく胸が痛んだ。確かに…教授が書いたように、今回の事件において、振り返って見ると、そうであった。音という音が存在しないような状態が、ニュースにて伝わってきた感じであった。こうなったのは、音楽の世界において、結局の所…それだけの作品がなかったというコトなのであろうか? 教授が頭をもたげている理由は、そういう理由も含まれているのかもしれない。。。

 あと、今回の件で…日本人の音楽家で俺に衝撃を与えたのは…俺が大好きなミュ〜ジシャンの1人である、佐野元春氏である。1980年代初頭、ニューヨークで作品作りに没頭し、発表した作品もあるぐらいなので、ニューヨークにゆかりあるミュージシャンと言っても良いであろう、そんな佐野氏が今回の事件後…おそらく、1番早いのではないでしょうか? 今回のテロをテーマにした新曲を、9月18日より1週間…自身のHP上にて、デモテープ段階とはいえ、今まででは考えられなかった【MP3無料DL】という方法にて、急遽発表致しました。佐野氏については、古くは…チェルノブイリ原発事故時、湾岸戦争時等においても、事件をテーマにした曲を書くなど…【時代時代を客観的に観るのが本当に上手いな】と俺は前々から思っていたのですが、今回のこの件についても、発表方法といい、作品といい…本当に佐野氏らしく、改めて佐野元春のコトが好きになりました。ただ、こういう事件についてはもう起こって欲しくないのですが…(;^^)

 最後に…余談ではありますが、この9月…実に、色々な事件があったような気がします。その中でも、自分に限って言えば…一歩間違えれば、自分が死んでたような事件が2件もありました。1件目は、新宿の歌舞伎町での例の雑居ビルの事件。偶然にも…その日に友達と池袋の雀荘にてテツマン(麻雀)をしていたのですが(苦笑)、【その日は、偶然にも新宿だった】というコトがあれば、巻き込まれていたかもしれません!?

 そして…2件目は、今回のテロ事件。夏休みの大旅行があと1ヶ月後にずれていたら、もしくはテロ自体があと1ヶ月前倒しで起こっていたら、【アメリカを旅していた俺ら自身が巻き込まれていた】のは間違いありません。なんせ、今回のテロ事件において、拠点地の1つとだったとも言われているボストンから国内便を利用しましたし、さらにその便の行先であり、俺自身が望んで行った都市であるアトランタについても、【テロの標的にされていた場所の1つだった】と言われてましたしね。そんなコトもありまして、さすがに…突発的に訪れるであろう、自らの死について、【俺が仮に死んでしまったら、どれぐらいの人が悲しんでくれるのだろうか…?】とか、【俺について知っている人達は、果たして生前の俺に対してどのような表現をしてくれるのだろうか…?】とか、ストイックに考えずにはいられませんでした。いろんな意味で、俺自身が生き残った理由を問うた1ヶ月でありました。

 そんな理由にて、【この事件は絶対に風化させるべきでナイ】と思い、形にして残すコトにした…今回の第27個目の積荷であったのでありますが、皆さんはどうお考えでしょうか? 以上にて、その箱詰め作業の方を終了したいと思います。

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