第58回のテ〜マ:【チーム合併…】(2004.06.19.)


 先日、大阪近鉄バッファローズオリックスブルーウェーブの合併が合意に達した(オリックスが吸収合併する形で、新名称は大阪ブルーウェーブ?)という話題で、日本のプロ野球界は早急な改革が余儀なくされている状態になっておりますが、この合併話の件で長年続いたセントラルリーグ、パシフィックリーグという2リーグ制の時代は、もう終焉を迎えてしまうのでしょうか。そして、これに従い…ある程度の格式が保たれていたと思われる日本シリーズも廃止されてしまうのでしょうか。1リーグを推進するのも構いませんが、野球界に影響力がある方々には、ファン心理もキチント鑑みて、まずは現在の2リーグ制を維持する方向で保ってもらいたいものです。

 ちなみに、個人的な意見を申しますと…とりあえず、【近鉄は球団経営から身を引くべきだ!】と10年以上前(1994年)から思っておりました。この年に起こった出来事はといいますと…そうです。野茂英雄投手がロサンゼルス・ドジャースと契約を結んだ頃ですね。この年、彼は肩を痛めてシーズン後半を棒に振るのですが、その立場でありながら“複数年契約”を要望した彼のコトをフロントは全く認め様としませんでした。そこから溝が深まり、最終的には任意引退選手の扱いとなり、ドジャースに行く訳なのですが、普通…ルーキーの年の1990年〜1993年間迄“4年間連続で最多勝”に輝いた選手は、何が何でも引き止めるのが当然でしょう…? この時代から、近鉄には球団経営という意味において、ヤルキが伝わらなかったと思います。

 ちなみに、野茂の件があった年の前後においても…長年支えて来た選手(小野和義、吉井理人ら)と揉めて、放出という失態を演じております。個人的には、当時の鈴木啓示監督(現役時代は317勝という輝かしい実績有)の采配等にも、かなり問題があった気がしますが、【1年の最後には監督の責任をも選手に責任を押し付ける様な球団】というイメージが拭い切れませんでした。

 そういえば…現在、中日ドラゴンズで活躍する福留孝介を1995年に近鉄はドラフト指名して、入団を断られておりますが、今となると…福留が入団を拒否した理由として、これらのマイナスイメージも多分にあったのではないかという気がしてなりません(然しながら、結果的に見れば、【福留は素晴らしい選択をした】というコトになりますね)。この様な事実を、球団のフロント陣等はどの様に考えているのか、1度聞いてみたいモノです。併せて、ココ数年のゴタゴタである…パシフィックリーグを代表するクローザーであった大塚晶文(現・サンディエゴ・パドレス)や“近鉄を愛して止まなかった”主砲のタフィ・ローズ(現・巨人)を放出しなければならなかった“本当の理由”は一体何であったのか…この辺りのコトも聞いてみたい気がします。何れにしろ、この球団の真実は新聞紙上の記事だけでは全てが伝わっていない様な気も致します。

 一方のオリックスはと言いますと…色々なコトに挑戦的で、個人的にはイメージ的なモノは結構良かったです。例えば、2軍を地域密着チーム化し、サーパス神戸(それに倣ったのが横浜ベイスターズの2軍である湘南シーレックス)として独立採算制の道を模索したり、契約金0で新人を入団させたり、球場の名称を売ってしまったり…。アイディア自体は非常に良かったと思いますが、そもそもチームの顔であった長谷川滋利やイチロー、田口壮らが去って行ったコトによるファン離れはあまりにも大きかったですし、ジョージ・アリアスの阪神での活躍を見ても、彼の解雇は痛過ぎました。

 また、球団経営としての斬新的なアイディアも…リーグの順位には結び付いておりませんし、【さらなるアイディアを模索していた最中に、近鉄から話題があった…】というのが本音の様な気が致します。もしかしたら、【近鉄から中村紀洋や岩隈久志(ウチの母親、彼のファンです…^^;)が来れば、集客数もアップする!】という目論見が少なからずあったのではないでしょうか。もし、コレが本音であったとするならば、オリックスファンはガッカリすると思いますし、近鉄ファンの心境も穏やかなモノではナイでしょう。【苦しいなら、こんな重大な発表をする前に何かアクションを起こしてくれれば、俺らが頑張って支えて行ったのに!】というファンもいたかもしれませんし、この先…合併するコトで、熱いファンが付いて来てくれなくなる様な気もします。

 実際問題、自分が知る限りにおいても、近鉄とオリックスは、ファンの応援形態法や“関西らしい野次”に関しても、一方は水で、もう一方は油というぐらい質が違いますからね。。。

 おそらく…2チームが合併すれば、新チームのスタメンに関しては、確実に強力なモノになるかと思われますが、将来的に見た場合、果たしてこの2球団が合併するコトで本当に全てが上手く行くかどうかとなると、疑問を感じずにはいられません。例えば、双方所属する2軍の若手選手は? 巨人に行かされてしまったら、2軍のレギュラーも大変ですよ(苦笑)。例えば、ベテラン選手。高額年俸がネックとなって、現役引退に追い込まれるかもしれませんよ。そして、コーチや打撃投手等の裏方さんの処遇の件等は? フロントが考える以上に、現場は合併は大変だと思っているはずです(合併したら、梨田、伊原両監督なんかは、裏方さん等の就職の斡旋活動も行いたい心境でしょうね)。

 また、合併の件で忘れてはならぬコトが、サッカーファンであれば周知の事実であるかもしれませんが、例の横浜フリューゲルスの件です。今回の近鉄の様に、全日空の経営理念主導(佐藤工業も絡んではおりましたが、この会社だけでは現実的には無理)で1999年の元旦に天皇杯で優勝を飾ったのを最後に消滅したのがこのチームだったのですが、合併先はなんとダービー相手の横浜マリノス。そんな訳で、あのとき…横浜マリノスに移籍した選手は何選手かおりましたが、その当時の主力級で、現在もJ1で現役の“主力級”の選手となると、楢ア正剛三浦淳宏、波戸康広、薩川了洋(大怪我で長期離脱中)、久保山由清、吉田孝行らがおりますが、なんと今挙げた6選手、実は皆マリノス以外のチームで活躍しております。この結果を思うと、ファンも選手も、ホームタウンが近い同一リーグのチームはそもそもライバル同士であるため、メンタル面的に旧チームの頃の状態を保つのが難しかったではないかと、想像するに難くありません。

 企業側にとっては、経営が苦しくなった際にチームを売却するコトが難しい現状、合併は致し方ない結論であるのかもしれませんが…たとえスポーツの協議自体は違えども、この横浜フリューゲルスにおける結果論をキチント踏まえた上で、今回の合併話に関しても、事を運んで行ってもらいたいというのが自分の率直な思いです。以上にて、【今回のエッセイの積み残しは無】と致します。

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