第18回のテ〜マ:【みちのく旅情A 三陸編-2】(2004.11.03.)


@〜M:岩泉線(2004/10/24)



@茂市駅にてT

 さて、ココからは…前頁で取り上げたJR山田線のうち、“ローカル路線区間”となっている宮古〜盛岡間における中間駅・新里村茂市から分岐し、日本三大鍾乳洞・龍泉洞の玄関口である岩泉との間(38.4Km)を左記の通り、山田線同様の旧型手動ドア開け車両が約1時間程かけて結んでいるJR岩泉線を取り上げたいと思います。

 ただ、その前に…まず、この岩泉線乗車に関する苦労話を書かせて下さい。ハイ…(;^^)



A行先板@岩泉線

 ココ数年、自分は全国各地に存在するローカル線の車窓をこの目で眺めたく、例えば…五能線只見線三江線等…何の根拠をもとに設定されたのか理解しかねる“極悪ダイヤ路線”を数多く利用して来ましたが、コレらは、実は頭を使えば…起床時間を遅くしたり、観光地を巡る時間であったり…“自分自身の時間を有効に時間を使うコトができる路線”でありました。然しながら…岩泉線に関しては、それが殆ど許されておりません。。。

 実は、【全線の車窓を見れる列車の本数でさえ上下合わせてたったの3本しかナイ】のです。と言うのも、ダイヤが…宮古発は○6時、○14時、×18時の3本(早朝に1本だけ岩手和井内迄の区間便有)。岩泉発は○8時、△17時、×19時の3本という呆気にとられる様なモノで…。前回、自分が来訪した頃は…宮古11時台、岩泉12時台の列車も存在していたはずなのですが…あるときを境に削減されておりました。さらに、1日3〜4本しか走らないせいか、基点の茂市以外は全て無人駅であるせいか、単線の路線でありながらも、線内の途中駅における対向列車と擦れ違う設備が全て廃止されてしまった“完全閉塞”という、全国でも類を見ない不可思議な路線です。所詮は、旧国鉄時代に特定地方交通線として廃止されるはずだったのが…「代替道路未整備」を理由に廃止見送りとなったレベルの路線ですからね。所詮は。

 …然しながら、ココ迄削減されてしまうと、沿線最大の観光地である龍泉洞観光利用に結び付けるのも困難極まりなく…鍾乳洞が18時迄営業している時期以外は朝の1本のみ。岩泉から先、乃至は逆方向(例えば三陸鉄道小本駅方面)からのバス接続がシッカリしているという事実だけが、この岩泉線を利用する際の“せめてもの救い”でしょうか(参考:バスダイヤ)。ただ…このバスダイヤに関しても、JRバスがこの地域から撤退して以降は、市販の全国版の時刻表には載っておりません(御参考迄)。

 ↑な感じで…自分はこれらの情報から、あれやこれやとプランを作成したのですが…この岩泉線に関しては、自分は朝の1本で【単純に往復】という形を採るコトに致しました。



B茂市駅にてU

 “愚の骨頂という印象が否めないこのプラン…できる限り避けようと腐心しました。然しながら、【小本経由】にすると、さらに無駄な出費&時間も増えてしまうため、ボツ案…。また、【1時間待って、早坂高原や岩洞湖経由で盛岡へ行くバスに乗車するのも良いかなぁ】とも思ったのですが、自分で運転した方が色々と融通が利くので、同じくボツ案…(;^^)

 予定組むコトでさえ、こんなにも大変な岩泉線に乗車するために、早起きして、宮古から山田線に乗車したのですが、茂市で皆が岩泉線に乗換という感じでした。ちなみに、乗客は自分を含めて5名で…うち、1名が地元の方。他の3名はグループ…。利用者、いるんですね(苦笑)。左記画像Bを左前方に進む山田線を見送った後、岩泉線は同画像の中央を進み出しました。。。



C車窓T




E押角駅T

 すると、発車直後は暫く…画像Cの様な農村地帯が続きますが、線路が向かっている方向は山がある方向。茂市から3駅目の岩手和井内を過ぎると、自分が乗車している列車は“必然的に勾配を上り始めて行く”訳ですが…それと共に、車窓に関しても、Dの様な感じで切り替わって行きます。この…人気が殆ど感じられぬ様な車窓と、山間部であるために数多く存在するカーブを曲がる度に線路と車輪が擦れる音のマッチング…。独特のローカルムードが非常に素晴らしいです。

 ちなみに、その際たる駅が左右画像EとFの押角という岩手和井内の次駅。所要時間は和井内からは約8分程で、茂市からは25分程…。景色が“ガラリ”と変わってしまいます。そういう訳で、駅周辺は…画像の雰囲気でも分かるかとは思いますが、養魚場があるのみ。今や、存在意義自体が怪しい駅ですが、押角峠手前の駅であるため、昔はスイッチバックの駅(画像Eの右前方方向)であったらしく、その当時は民家もあった様です…が、ロケーション的には全く想像が付かない【写真好きの方のための駅】という感じです。自分も、ある意味で…いつかはそのために下車したい駅です。



D車窓U




F押角駅U



G車窓V@押角付近

 しかし、そう思うのは、何故なのでしょうか…。その答えを考えましたが、この押角付近の岩泉線の車窓には古き良き時代に多々存在した北海道のローカル線的な匂いが凝縮されている故だと思います。例えば、道内ではよく見られる…簡素な板張りの左上画像Eの1両用ホーム、コレは感動的でした。自分が乗車している列車が、【なんで2両なのだろう?】と思うと、【来る所迄来たな…】的な心境にもなりますし…(;^^)

 廃線となった路線で言いますと…そうですね。人間よりも狐の方が多いと思われる道北に存在する美幸線跡の雰囲気と近い気がします。左記画像Gなんて、なんの変哲もナイ線路沿いの車窓かもしれませんが、北海道好きの自分にとっては、想起させる様な何かがありました。

H車窓W

I車窓X

J岩手大川付近

K車窓Y



L岩泉駅にてT




M岩泉駅にてU

 さて、押角以遠は峠を越えるため、トンネルが多くなりますが…押角の次駅である岩手大川に到着する頃には、上記画像Jの通り、並行する国道340号線からは…“岩泉線は見上げなければ見えない”様な所を走ります。【トンネル内で勾配を上った証はコレだ】という感じでありましょうか。そういえば、上記画像Jは北海道の十勝周辺で多々見られるコンクリートのアーチ橋ですね。景観を意識してのモノだとは思いますが、こんな所迄北海道風です…。上手い具合にマッチングしていると思いますけれども。

 ちなみに、光の関係もあり…車内から撮ったモノは多いとは言えませんが、この高所から眺める紅葉は、“動く展望台”という感じでなかなか良い感じでした。乗客も少ないが故に、こんな勝手なコトを申しておりますが、とにかく贅沢な気分が味わえます。中でも、岩手和井内〜浅内付近迄の車窓は非常に印象的なモノが続きますので、個人的にもオススメです!

 そんな路線の終着駅である岩泉は、その…浅内から10分程で到着致します。左記画像Mの通り、何故か立派な駅舎を持っておりますが、同Lの通り、ホームは中間駅の様な造りです。実は、この岩泉線は三陸海岸側の小本迄を延伸する予定だった路線で、岩泉迄到達する迄は“小本線”と称されていた影響です。おそらく、小本迄のバス便がある程度確保されている理由に関しても、その影響があるのかなと思えて仕方ありません。

 最後になりましたが…岩泉線はあちこちで開業当時の様子が偲ばれる、今や廃線の噂が絶えない路線ではあります。然しながら、それを補って余りあるこの美しき車窓や駅風景を、1人でも多くの方々に目に焼き付けて頂きたいなと個人的には思わずにいられません。とにかく、色々な意味で印象的な路線でした。

N〜Q:龍泉洞(2004/10/23)

N龍泉洞T

O龍泉洞U

P龍泉洞V

Q龍泉洞W

 さて、岩泉といえば…やはり洞窟という感じでしょうか。山口県の秋芳洞、高知県の龍河洞と並び日本三大鍾乳洞として扱われている三陸でも指折りの観光地である、この龍泉洞以外にも、日本最長の鍾乳洞である安家洞(公開範囲はホンノ一部だけ?ですが…)等の洞窟が点在しております。

 ちなみに、龍泉洞に関しては、今回16年振りに来訪しましたが、鍾乳洞周辺の景色も含め、あまり変わっておりませんでした(どこか嬉しくもありました)。今回も前回来訪時と同様…岩泉線が上記の様なダイヤとなってしまっているので…また、5月〜9月迄の営業時間は17時迄となっている関係上、三陸鉄道・小本駅経由での来訪であります。。。

 余談ですが、この自分が記憶している限り…初めて入った鍾乳洞がこの龍泉洞でして、鍾乳洞は夏季においても“自然の冷房室”という感じで心身癒されるコトもあり、その後、全国各地の鍾乳洞をあちこち巡るコトになる訳なのですが、幸か不幸か…ココを1番最初に訪れてしまったため、【この龍泉洞以上のスケールの鍾乳洞はまずナイ…】という風にしか見れず、変な物差しを作ってしまった所でもあります。

 ソコ迄言わしめる…この龍泉洞が他の鍾乳洞と何が一線を画しているのかと言いますと…鍾乳石も然ることながら、上記画像Pの様な世界有数の透明度を誇るエメラルドグリーンの神秘的な地底湖(洞内撮影故、この程度しか伝えられませんが…)が幾つもあるコト。あの摩周湖とも双璧の?透明度の地底湖には、自然の力の奥深さを感じるコトができますし、【見れば見る程に、自分自身の身体が吸いこまれてしまうかの様な感覚】を与えます。前回来訪時から16年経った今回も、幼き頃に感じたあの懐かしき感動は変わるコトはありませんでしたね。是非1度は観て頂きたい所です。

 尚、ココには世界で初めての自然洞穴科学館である龍泉新洞科学館がありますので、御時間があればそちらも巡るのもありかと思います。あとは…鍾乳洞入口に“延命の水”と言われる名水がありますので、記念に試飲するのもありかと思います(笑)

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