第20回のテ〜マ:【尾瀬散策記等 2】(2005.08.25.)


@〜E:龍宮小屋→山の鼻→鳩待峠(2005/07/17)

 弥四郎小屋から歩いて30分弱の距離にあるのが中田代の龍宮小屋。この辺り迄来ると、鳩待峠からの歩行時間も2時間前後であるせいか、こちらに向かってくるツアー客もさすがに多く、マイペースでは歩き辛く、どこか忙しなくなる印象は否めませんでしたね。立ち止まって撮るコトを憚ってしまう場面も何度かありました…。

@散策道にてT

A散策道にてU

B至仏山をバックに…

C散策道にてV



Dヒツジグサ



E花豆ジェラード

 そう申すのも…今迄通った散策道では観るコトができなかった風景が、山の鼻に至る迄の間にあるのです。これは、自分達が高層湿原から中層〜低層へと向かって歩いて来たコトを意味するのですが、低層湿原自体…土砂等の堆積が食い止められている箇所でありますから、水辺も増えます。例えば、川を覗くと岩魚が泳いでいたり…上記画像Aの様に、池塘や浮島が見られたりもします。個人的には、水面を鏡にして撮影するのが大好きなので、低層湿原が1番良かったりもするのですけどね。。。

 そんな景色を堪能しながら、山の鼻迄来ると、鳩待峠迄の距離はあと僅か…。グイグイっと上るコトになるのですが、最後の最後が「上りの階段道」。ココ迄歩いた末の最後がコレでは、さすがの自分にも厳しいモノがありましたが、それでも1時間程で到着しました。結局、渋沢小屋から鳩待峠に至る迄に要した時間は、休憩時間を含め、8時間弱。これだけの時間を連続して歩いた経験はありませんでしたが、結構歩けるモノですね。最後は歩くコトよりも、暑さの方が辛かったです…(;^^)

 尚、散策終了後は…鳩待峠にて、尾瀬名物の?「花豆ジェラード」を食して来ましたよ(画像E)。花豆は、正式には「紅花インゲン」と呼ばれ、高地における夏場の涼しい気温や昼夜の気温差がある所で、さらに澄み切った大気の中で恵まれた太陽光線をも受けられるなければ良質なモノが生産できないそうです。ちなみに、味に関しては、甘さ程々の和風小豆ジェラードという感じで、美味しかったですよ。是非、御試しあれ〜♪

F〜J:吹割渓谷(2004/08/01)

 時間に余裕があれば、尾瀬を散策した後、吹割の滝で有名な沼田街道(国道401号線)沿いの渓谷に軽く立ち寄るのも良いかと思います。ちなみに、上越線の沼田駅からバスが出ており(一部は上越新幹線の上毛高原駅発)、所要時間は約1時間程(※バス停有)です。

F片品川

G吹割の滝T@上流側

H吹割の滝U@下流側

I吹割の滝V

 利根川の支流の1つである片品川の清流が、凝灰岩や花崗岩の川床上を流れ、岩質の軟らかい部分を浸蝕した結果、多数の割れ目を生じ、巨大な岩を吹き割った様にも見えたコトから、その名が付けられ、「滝壺は竜宮に通じている」という伝説も生んだ吹割の滝。高さに関しては、約7mというコトで、この数字だけを見れば小規模ですが、形状は上記画像Gの通り…他の滝とは趣が異なり、上流側から片品川を見ると、幅約30mの川の水が吸い込まれているかの様。



J鱒飛の滝

 そのため、規模の割には轟かせる音にも迫力があり、時に「東洋のナイアガラ」と称される程(※個人的には大袈裟過ぎかと…^_^;)。昭和11年には天然記念物に指定されております。

 ただ…残念なのは、どこに立っても滝の全貌をバランス良く画像として収め切れないコト。個人的には、落水の様子が片側に偏るのも面白くないので、上記画像Hの様に撮りましたが、意気込んで行くと、ややモドカシサさえ残ると思います。むしろ、撮影という意味では、吹割の滝から5分程下った所にある左記画像Jの鱒飛の滝の方がオススメですかね(※迫力も十分有!)。ちなみに、こちらの滝名称に関しては、鱒がこの滝を懸命に越えようとして飛び跳ねたコトがその由来なのだとか…なるほど。。。

K〜P:湯の小屋(2004/08/01)

 尾瀬ヶ原方面から至仏山や笠ヶ岳を経由し、下る場合は、この湯の小屋となります。温泉やダム、俳人・水原秋桜子により名付けられた滝がある照葉峡等、立ち寄りたくなる所は結構多いですが、尾瀬から来訪する場合は、さすがに温泉に立ち寄るコトだけで精一杯かもしれません…。



K奈良俣ダムT

 吹割の滝を廻った後、沼田に戻り、上越線で水上迄移動しました。皆さん御存知の通り、水上は数ある温泉の玄関口。ドコの温泉に行こうか迷いましたが、どうせならば駅から離れている所に行こうかと…(;^^)

 ちなみに、駅から離れた温泉としては、宝川温泉と湯の小屋温泉の2箇所があるのですが、路線バスとの接続の関係で、今回は最奥の後者を目指すコトになりました。



L洞元荘

M奈良俣ダムU

N奈良俣ダムV

O仁王の湯T@洞元荘

P仁王の湯U@洞元荘

 宝川や湯の小屋方面行のバスに関してですが、水上駅から集中的にダム(藤原/須田貝矢木沢/奈良俣)が設けられている地域へ向かって、利根川沿いの勾配がキツイ道をユックリと上ります。

 そうして、約40分程の所要時間にて湯の小屋に到着致します。この近くにも、当然の如くダムがあるのですが、それが奈良俣ダムです。上記画像Kの通り、下から見上げると、来訪した方を必ず圧倒する…自分が大好きな「ロックフィルダム」。高さを調べてみた所、ロックフィルに限れば、全国第2位の高さ(158m)を誇るそうです(※執筆時点)。

 …そんなスケールの大きなダムですから、湖上の景色に関しても、上記画像Nの通り、周辺の山々と相まっており、美しい限りです。ただ、この景色を見るためには、嫌でも徒歩であのロックフィルの高さ分、上らねばなりません…(;^^)。しかも、コレが階段を中心に構成されており、上から下迄835段程(※自分が数えて算出しただけなので、目安程度で…)。自分は17〜8分で上りました(←ペースはやや速いと思います)が、最後迄上り階段しかないので、精神的には滅入りますし、体力的には結構堪えます。クレグレも御注意の程を…。

 最後になりましたが、湯の小屋温泉に関して…。幾つか温泉がありますが、自分が来訪したのは最も立ち寄りやすい?洞元茶屋。夜になると、狐や狸が出没するとの噂で有名な洞元荘(※実際の所は確率が低い様な…)に併設されている日帰り入浴施設ですが、ココは内風呂だけでなく、上記画像O&Pの男女別露天風呂や洞元荘の混浴風呂である夕立風呂にも入浴するコトができるので、御得感はあると思います(※但し、冬季等を除く季節営業とのこと)。

〜あとがき〜

 昨今、国立公園分割化問題でも取り沙汰されている、尾瀬の夏とその周辺の風景を取り上げてみましたが、如何でしたでしょうか。夏といえば、尾瀬のニッコウキスゲと同じ黄色い花を咲かせる向日葵に関しても、個人的には印象的ではありますが、両者に共通する…「黄色という鮮やかな色が、人間の視覚から与えるパワーの大きさ」に関しては、凄まじいモノがあると改めて痛感させられた気が致します。また、厄介なルートを取りざるを得ない原因ともなった?滝やダムに関しても、周辺の景観と相まった姿は非常に印象的(※ダムに関しては、何れも百選モノ)でしたし、「尾瀬が持つ偏りがちな一般的な価値観をこのコーナーで覆す!」という意味でも、来訪した価値はあったなと思っております。

 …その一方で、尾瀬沼や百名山としても取り上げられている燧ヶ岳や至仏山を廻るコトが出来ずに終わってしまったコトに関しては、非常に残念な限りではありますが、天気とも相談しなければならない所でもあるとも思っておりますので、その点も鑑みた上でまたの機会に挑戦してみようかと思っております。

 最後になりましたが…そもそも、「尾瀬」という土地に興味を持つ人が多いのは、幼き頃に音楽の授業等にて習う「夏の思い出」という曲も、遠因としてあると個人的には思っているのですが…その詞を残した江間章子女史(※密かに、自分の出身中学校における校歌の作詞にも携わられている)が今年の春に亡くなられております。非常に遅いですけれども…御冥福を御祈り申し上げながら、今作を終了致します。

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