第17回のテ〜マ:【九州横断旅情 2】(2004.05.23.)


@〜H:高千穂(2004/04/24)

 駅を下車し、高千穂は徒歩で廻るコトに致しました。高千穂バスセンター(駅前の下り坂を“走って5分”前後)迄行けば、天岩戸等も廻れる周遊バスもあるのですが、他の御客さんに行動が左右されて、自分の計算通りに事が運ばない恐れもあるので?、結局…“1人でブラリ”を採りました。



@高千穂神社

 そういう訳で、高千穂峡に狙いを定めて徒歩で向うのですが…その途中にあるのが、左記画像@の高千穂神社です。毎晩20時から夜神楽が行われるコトもあり、雑誌等の各種メディアで必ず取り上げられますが、約1900年前11代垂仁天皇の代の創建と言われ、上古高千穂皇神を祀る由緒正しき神社です。

 ちなみに、天慶年間(938〜947)には高千穂八十八社の総社であったそうで、農産業・厄払い・縁結びの神として、古くから多くの人々の信仰も集めており(自分も御利益ありますように:笑)…神域とされている境内は、畠山重忠手植の樹齢800年を超える秩父杉等で、気高い雰囲気が常に漂っております。さすが、神話と伝説の里…。

A玉垂の滝

B真名井の滝

C高千穂峡T

D高千穂峡U

E高千穂峡V

F高千穂大橋よりT

G高千穂大橋よりU

 阿蘇火山活動の噴出した溶岩流が、五ヶ瀬川に沿って帯状に流れ出し、急激に冷却されたために柱状節理の懸崖となった渓谷…それが高千穂峡です。戦前の昭和9年11月20日に名勝天然記念物に指定され、今や各種九州パックツアーでは必ず取り上げられる観光地…。この日も天気が良かったせいか、ツアー観光客で賑っておりました。ただ、個人的には、30分もあれば散策が終了してしまう散策可能な範囲の狭さは、歩くのが好きな自分には物足りませんけれども…(;^^)

 さて、この高千穂峡のシンボルといえば、“ボートから近付ける”真名井の滝(上記画像B)でありましょうか。日本の滝百選にも取り上げられてはおりますが、個人的には“滝単体としてはそれ程のモノではない”という考えは変わりません…。然しながら、両岸の柱状節理の懸崖、そしてそこから五ヶ瀬川に流れ落ちる佇まいには、庭園を見ている際に感じる奥ゆかしさがあります。まさに和風の趣とでも言いましょうか。これこそが、シンボルたる所以でしょう。素晴らしいです。何回見ても良いですね。

 あと…高千穂峡の観賞の仕方として、個人的にオススメなのが、高千穂大橋から見る高千穂峡でしょうか。真名井の滝から歩いてきた場合は、まずはその方向(上記画像F)を、次に散策できない方向(上記画像G)を…共に、橋の上から見てみて下さい。こんなに眺望が素晴らしい所はそうはないと思いますよ(ちなみに、画像Gでは滝も見えます)。紅葉の時期は最高でしょうね(国見ヶ丘で見える雲海とセットで愉しみたいモノです)。

 ちなみに、この高千穂大橋が架かる周辺は、実は…3代の橋が架かっております。上記画像Dで見える大正時代の「神橋」(石橋)と昭和時代の高千穂大橋(僅かに写る鋼橋)、そして画像Gの奥に見える平成時代の「神都高千穂大橋」(コンクリート橋:高さ115m)。同じ渓谷に、この様に3本のアーチ橋が架かるのは全国でも初めてだとか…。来訪された際は橋梁の土木技術の変遷に関しても愉しんでみて下さい。



H高千穂温泉

 さて、高千穂大橋から高千穂バスセンター迄、坂道を徒歩で頑張って戻ってみたら、時間的にも多少余裕があったので…温泉に行ってみるコトにしました。17年前にはなかった施設であるので、【バスはドコに向うのだろう…?】と思いきや、勾配のある坂道を北へ約10分程…。左記画像Hの通り、建物も含め、立派な温泉施設ではありました…が、“バスが15時台迄”しかなく、列車旅で立ち寄るには少々厳しいかもしれません(高千穂駅から徒歩30分程)。もっとも…バスに乗車した人も自分1人だけだったので、結局…その程度しかバスの利用者もいないのでしょうが…(;^^)

 …それでも、陸上の福士加代子選手のサインがありましたね。陸上選手はこんな所で練習するのかなと思いました…が、観光だったりして!?

I〜M:南阿蘇鉄道(2004/04/24)

 温泉に浸かった後、高千穂バスセンターから熊本行の特急バスを利用し、県境を越え…熊本県の高森という街へ出ました。ちなみに、特急バスであれば、高森中央というバス停迄の所要時間は約1時間程。普通の路線バスの乗継であれば、その倍は見た方が良いでしょうか。

 バスを利用すれば、高千穂からは熊本(高森&空港経由と矢部経由の2ルート有)や天神といった所をはじめ…忍耐強さ?に自信があれば、大分県の竹田方面へのマニアックな抜け方も可能な様です(→参考←)が、何れの路線も“決して本数が多いとは言えません”し、【乗継しようとなると、接続時間がすこぶる悪い】等、問題も多々ありましたので…事前に調査しておかれるコトをオススメ致します。。。



I高森駅

 話を戻して…今回の自分に関してですが、何故この高森という街で下車したのかと言いますと…前頁にて、「高千穂鉄道は元々“九州横断線”という壮大な計画の下、建設された…」と触れましたが、実は熊本県側でも高千穂線と同じ様に建設され、第1次廃止対象特定地方交通線に指定され…同じ様な運命を辿ってしまった南阿蘇鉄道(旧国鉄・高森線)という路線があるのです。この路線に乗車するコトが目的でありました。。。



J列車 at 高森駅

 ちなみに、国鉄時代は非常に御粗末だったこの路線…南阿蘇鉄道となってから、大胆なコトが行われた様です。例えば、上記画像Iの高森駅の様に駅舎を高原をイメージした様な斬新なデザインにしたり、別の駅では温泉(阿蘇下田城ふれあい温泉)を併設させたり…。例えば、日本一ミニサイズの機関車が牽引する本物の?トロッコ列車(雨天運休)を全国各地で流行る前(1986年)から土休日等に運行したり…。さらに、変わった所では“南阿蘇水の生まれる白水高原”という感じで【固定観念に捉われない日本一長い駅名(現在は日本二)】を大胆にも付けたり…あの手この手での利用客誘致狙い?が功を奏し、現在の列車本数は国鉄時代の3倍だとか。ローカル線と称される路線でも、【アイディア次第ではココ迄やれる!】というコトを顕著に示しているとも言えましょう。



K車窓T

 そんな南阿蘇鉄道は、豊肥本線の立野という駅から、この高森迄の17.7Kmの短路線です(距離的に言うと、東京〜阿佐ヶ谷とホボ一緒)。そのため、全線乗り通した場合の所要時間も約30分程。カルデラ内を走る路線であるため、天気が良ければ、ホボ全線で車窓として南阿蘇の雄大な山並を見渡すコトが可能です(左右画像KL)。阿蘇のスケールの大きさや力強さを感じるには最高の路線と言えます。思わず…窓を開けずにいられなくなると思います!



L車窓U



M第一白川鉄橋より

 ただ、こう書いてしまうと…阿蘇の山並以外には、特徴的な車窓がなさそうな印象も受けてしまう路線ですが、実は左記画像Mの様な車窓(立野〜長陽間)もあります。御覧の通り、ココは完全な谷間ですが、白川と黒川が合流してすぐの地点だと聞きました。

 ちなみに、第一白川鉄橋は、国内では前頁にて記載した高千穂鉄橋に次ぐ、2番目の高さ(68m)を誇るそうで、【どうせ徐行するだろう…?】とタカを括っていたら…トロッコ列車でなければ、橋梁上での徐行は全く行わない様で(汗)。慌てて川が見える様な形で撮ったせいか、焦点がボケてしまいましたが、それでもまだ川が見えるせいか、凄みは伝わるかと思います。今度はトロッコに乗車して渡りたい鉄橋です…(;^^)

 然しながら…前頁の高千穂鉄道も含め…両路線の車窓は素晴らしいと思いませんか? 高森〜高千穂間が結ばれていれば、“国内屈指の絶景路線となったはず”だけに、1人の旅好きとして…本当に残念で仕方ありません。尚、両路線が結ばれなかった理由は、宮崎県側へ抜ける予定であった高森トンネルを建設している際に、大量出水が発生してしまったが故であるそうで(∴建設中断)、そのトンネル建設跡は“高森湧水トンネル公園”として、現在は利用されております。御参考迄。。。

N〜O:立野(2004/04/24)

 さて×2、南阿蘇鉄道を利用した自分は18時過ぎに立野駅に到着したのですが、まだ陽が落ち切っておりませんでした。「九州は違うなぁ…」と思いました。“それならば…”という感じで!?、自分は駅からタクシーに乗車して、黒川にある数鹿流ヶ滝(“すがるが”と読む)という日本の滝百選にも取り上げられている滝を観に行って来ました。立野駅から駐車スペース迄の所要時間は6〜7分で、左下記画像Nの様な感じで数鹿流ヶ滝が見える観瀑台は、ソコからさらに徒歩で2〜3分の所にありますが、【遮る木々があまりに多く、写真を撮るという意味においては、あまり適した場所とは言えませんので、過度の期待をして行かない方が良い!】かもしれません…。ちなみに、正面から滝を見るのであれば、長陽方面へ抜ける阿蘇大橋上から可能な様です。



N数鹿流ヶ滝



O立野駅(JR)

 ところで、この“数鹿流ヶ滝”って…名前が変わってますよね? 観光客を圧巻させる周囲の絶壁も多少は関係している様で…【「建久2年(1191年)、この地で行われた巻狩りは「下野の狩り」と呼ばれ、「富士の巻狩り」の手本となったが、その巻狩りの際、数頭の鹿が逃げ場を失い、渓流に流れ落ちた】という話や【阿蘇大明神がこの場所を蹴破って阿蘇湖の水を流した時、数多くの鹿が逃げ場を失って滝壷に流れ落ちた】という神話等がソモソモの由来…と言われております。

 ちなみに、滝の規模的な話に関してですが…高さは60mで、滝壷は2970u。滝壷は、全国的に見ても大規模なモノだとか…。前述した第一白川鉄橋(黒川と白川の合流地点)に関しては、こんな滝の下流にありますが、上流にこんな滝があると、【あんな車窓が見れて当然なのかもな…】という気にもなりましたね。

 こんな阿蘇周辺には、その他にも滝が多い様で…乗車したタクシーの運転士さんには、【金龍の滝も良いから今度行ってみなよ!】と言われてしまいました。自分、一捻り足りなかったみたいです…(>_<)

 …最後になりましたが、左記画像Oの立野駅に関して。JR豊肥本線は東の大分方面に向かう際、勾配がキツイために、一旦スイッチバックを行ってから向かうという…実は“旅情溢れる駅”です。車も良いですけど…これだけは列車ならではの愉しみだと思いますね。個人的には…。

P:宿泊先等



P夜の熊本駅

 この日の晩は…【熊本で泊まろう!】と思っていたので、豊肥本線で立野から熊本に出ました。豊肥本線は、立野から2駅熊本寄りの…近くには熊本空港がある肥後大津から熊本迄は電化されているので、その区間に関してはそれだけの乗降客があるのですが、立野の駅前の…車の行き違いも大変な貧相な道と大津駅前のシッカリした道の違いにはさすがにビックリでした。たった2駅。されど2駅…?

 さて、熊本ではJR九州のホテルに泊まるコトにしました。どうやら、新幹線の開業に合わせてオープンした模様?で、高級ホテルに宿泊した気分でした(笑)が、JRの駅からバス路線の中枢とも言える辛島町迄は市電利用要。熊本旅行の際の予備知識として、コレは必要でしょうねぇ…。

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